おまけの読み物その02 かたちを読む 最近のスキーブーツに多く見られる特徴から

2023.12.15

初出 2007.11.20 最終更新 2023.12.15

(このページは部分的に毎年更新しています)

カービングスキーが登場してからもうかれこれ四半世紀経ったのですねえ。

従来のクラシックな形のスキーからカービングスキーへの進化は、道具としての正常な進化ではあったわけですが、あまりにも劇的な変化であったためメーカーもユーザーもある程度の共通認識が育ってくるまでは結構ドタバタしました。

そしてこのカービングスキーはスキーブーツにも大きな変化をもたらすことになります。劇的に進化したこのスキーの性能を生かすにはどういうスキーブーツが必要なのかを各メーカーは模索していくことになったわけですが、いち早く対応できたメーカーと遅れをとったメーカーとでは、市場の反応もスキーのとき以上に早くて勢力図が一気に塗り変わってしまったということもありました。

現在はカービングスキーの性能の突出した部分を「どう引き出すか」からその対応幅の広さに対して「どう操るか」も考え始めた、さらには改めて自社のアイデンティティーを見つめ直し始めたなど、新しい段階に入ってきているという印象はありますが、皆一度同じ方向を向いた結果似たような形のブーツがやけに多くなってしまったのも事実です。過去にも良いスキーブーツが出来上がると他メーカーも何かしら真似してくるということはあったものの、ここまで似たような形の物が多いというのも過去にはなかった気がします。

その是非はともかくとして、その形の共通する部分と微妙に異なる部分を比較することで見えてくることがあるのではないかというのが今回のお話です。

 


 

まずはカービングスキー登場以前の代表的なブーツを思い出してみましょう。当時は1ピースか2ピースかという切り口で比較検討されることが多かったですね。

 

[2ピースタイプ 代表選手:ラングブーツ]

ロアシェルの立ち上がりが低く、足首のところまでしかないので2ピースタイプと呼ばれた。ターン後半(かかと側)のグリップに優れている。比較的可動域が多く取れる構造で足首の柔らかい動きを使って広く乗るタイプ。この辺の性格は現在のラングにも残っているところ。ヒンジの位置は足首の可動軸に揃えてある。ソールはがっちり四角い形。このヒンジの位置とソールおよびフットベッドの形は何十年も変えなかった部分。この先もずっと変えないだろうと思われていた。素材の硬さを変えることでフレックスの設定幅を大きく取れるのが特徴で、初級者用から上級者用までシェルの形はほとんど同じだった。

 

[1ピースタイプ 代表選手:ノルディカグランプリ]

ロアシェルがほぼアッパーシェルの上端と同じ位置まで立ち上がっているので1ピース構造と言われた。ターン前半(つま先側)の捉えの速さに優れている。足首の動きを使うというよりも、ピンポイントで押すタイプ。この辺の性格も現在のドーベルマンにも受け継がれているところ。ヒンジの位置はアキレス腱に近いところ、この後ろの強さが特徴。ソールはリブを配置した形。このソールの形はCADもCAMもない時代、たまたまうまく出来た物らしいが丁度いい硬さとねじれの強さを持っているといわれていた。このような1ピースのモノコック構造は、その形によって決定される強度そのものが重要な意味を持つ。だからラングのように素材の硬軟で幅広いラインナップを揃えることが難しく、基本的に上級者向けのみの展開であった。

因みにライケル(当時、現K2 FLEXシリーズ)などのような3ピース構造は1ピースの変形と考えてよい。どうしても硬くなりがちな1ピース構造から、甲と脛の部分をざっくり切り取りそこにフレックスタングを被せた形。足首を曲げたときのロアシェルのたわみ方などを観察すると基本的には1ピースということがよくわかる。

 


 

何故か堅い口調になってしまいましたが、まあこんな感じでしょうか。しかし現在のブーツに1ピースとか2ピースとか当てはめて論じる人はあまり見掛けないですよね。

現在のブーツでもラングなりノルディカなりの性格はそれぞれ色濃く残っていて、自分にあったブーツを選択する際の目安にはなりますが、と同時に共通する部分を観察することによって現代のスキーとスキーブーツとスキー技術の関係をより深く理解できるようになるということもあると思います。似てきたのにはそれなりの理由があるはずだということですね。

スキーブーツの性能や性格は全体の構造や構成によって決まってくる物でしょうから、この部分がこうだからこのブーツはこうだという風に一概に言えるものでもないとは思いますが、特徴的な部分に思いを巡らすことで作った人達の意図の一端を垣間見ることもできるのです。

 

[ヒンジの位置]

人間のくるぶしの位置は内側が高く外側が低いのですが、その軸とクロスするような感じでインサイドのヒンジ位置が低くアウトサイドが高い位置についている物が多くなりました。これは力をより内側に集めたいという考えからきていると思われます。フレックスはヒンジの位置を中心に出すのではなくてシェル全体のしなり(剛性)で出す考え方。勿論逆説的にヒンジの位置はここだからこのブーツはこうであるとか良い悪いということはなくて結果としてそうなったということでしょうけれども。

 

[ソール形状]

ソールの硬さとねじれの強さはブーツの性格を決める大事な要素のひとつですが、しなりの大きく出るカービングスキーに合わせてブーツのソールもよりしなる形の物が多くなりました。またソールも含めてブーツ全体でどこをどうしならせたりたわませたりして力を伝えていくかという作り方をするようになった結果でもあります。もっともブーツを設計する際、どこから構築して行くものなのか私たちには窺い知ることはできませんが。

 

[かかとが低くなった]

正確に言うとかかとの高いブーツが減ってきた。ここで言うかかとの高さとはつま先の高さに比してのこと(ランプ角)です。つま先とかかとの高さのバランスは前後のバランス、つまり重心位置を決定付ける大事な要素です。母趾球を中心にスキーを横に動かすのではなくて、スキーもソールもしならせて縦に滑らせながらターンに導くのが現代スキー技術の大事なポイント。前に乗るのではなくて、真ん中に乗るように設定するのは当たり前といえば当たり前か。そういえばカービングスキーが登場した当時、トゥピースとヒールピースの高低差が大きいタイプのビンディングを付けている人は、トゥピース下にスペーサーを噛ましたりと色々苦労しました。現在は極端にかかとの高いビンディングはなくなりましたし、メーカーのグループ化が進んでスキー・プレート・ビンディング・ブーツのトータルパッケージで開発することが多いのでそのような細工をする必要は少なくなりましたが、それぞれ別のメーカー(グループ)の組み合わせで使う場合は全体のバランスがどうでるのか確認しておく必要があります。

また最近増えているロッカー形状のスキーは縦に滑らせながら落としていける範囲が広くなってターンコントロールの幅が広く持てるのが特徴です。低いかかとの優位性がよりはっきりしてきたわけですが、メーカーの説明や指導の現場でも「真ん中に乗る」という表現からはっきりと「かかとに乗る」という表現をすることも多くなっています。表現の仕方は違いますが言っていることは変わらないので混乱しないようにしましょう。

 

[起きてしなやかになったアッパーシェル]

かかとの高さが低くなったことによって相対的にアッパーシェルの角度が起きることにもなりました(足首の前傾角度そのものは極端には変わっていない場合が多い)。また脛まわりもタングを薄くしたり、丸く均一にラッピングする形状のものが多くなって、その形状とともにアッパーシェルには強さよりもしなやかさを感じるものが多くなりました。

骨盤を立てて股関節を開いたポジションをベースに、外脚は長さを変えずに内脚はたくさん折りたたむ使い方をする、つまり内足と外足で機能のさせ方が違うことが多いのが現代のターン技術。両足首を曲げることが荷重だと思っている方にとっては軟らかいブーツが増えただけと感じられるかもしれませんが、前傾角度や前方向のフレックスは内足としてどれくらい動けるか・動かすことができるかにも意識をおくと最適なセッティングを見つけやすくなるはずです。強い外力に耐える為に外足は伸ばす力(突っ張る力)を使うのが有利という原則は今も昔も変わらないものですが、逆に関節を曲げていく使い方をする内足は外足に比べると遥かに筋力的にキツイものなのです。

 

[タイトなロアシェル 薄いインナー]

横方向への反応の速さが求められる現代のスキーブーツ。シェルも随分タイトになりました。トップモデルの足幅は軒並み95mm前後ですが、重要なのは前足部の幅ではなくて、くるぶしからかかとまわりが絞られている点。この部分のたわみ、変形はなるべく抑えたいという考え方がよくわかるところ。今のブーツはシェル全体のたわみとしなりで力を伝えていこうというブーツが多いのですが、この部分をたわませることは力が逃げて行くことに繋がります。また、足首・かかと周りの形状は足がどちらを向いて入りやすいか(ずれにくいか)にも大きく影響するところで、ここがタイトに作ってあるブーツというのは案外足の入り方を調整しやすいものなのです。ブーツフィッターにとっては実はありがたかったりします。

タイトなトップモデルのインナーにはくるぶし周り以外ほとんどスポンジが入ってないような物もあります。寒いのでは?という議論はここでは無視します。足がどうにも冷たくなる人はブーツのセッティングそのものを一度見直したほうがいいです。それでも冷たいブーツは確かにありますが・・・。

 

[オフセット]

つま先が以前より外側に向いてセットされたブーツや、足全体が外側に寄ってセットされたブーツが増えてきた。

実は足の中心線をどう設定するのがいいのかという議論は昔からあって、オフセットしたブーツは以前からありました。最初にオフセットしたブーツを出したのはロシニョールではなかったかと記憶しています(おぼろげな記憶)。

真ん中を向いているブーツも外を向いているブーツもどちらも力の向かう方向は同じです。どちらが良いとか悪いとかということはありません。足によって合うか合わないかの問題です。力の伝わる方向に対する考え方感じ方を適応させられるかという問題もあります。例えば脚から足へと通るエネルギーラインをインサイドで感じる人と、脚と足の中心軸で感じる(あくまでもイメージです)人とではオフセットされたブーツに対する評価(印象も含めて)が全然違ってきます。どのブーツが合うのかを検討する際は、自分の足が外向きに開きやすい足なのかどうかという事実と、力がどう伝わっていると感じるかというイメージの両方を考える必要があるということです。

技術的な側面からいえば、オフセットされたブーツはターン前半の捉えが早くなるのでターンを早く終わらせてグライドの時間が長く取れるのも大事なポイント。カービングスキーの使い方の基本と同じということで、スキーが横を向いてきてからもしつこく踏ん張ってないで早めに角付けを開放すれば良いということです。

また、足全体が外側に振ってあるブーツは、内足を傾けやすいことによってターン内側への重心移動がしやすくなるということで、スキーが下に向かっていく局面に焦点をあてているという意味では狙っているところは同じ。この辺のイメージは、このタイプのブーツを床に置いて内側に少し傾けておいてから手を離してみるとわかりやすい。元に戻って起ったところからそのまま外側に倒れていきます。

 

(注)アトミックでは”offset”=足全体の位置、”shell rotation”=足の向きという表現をしていました。確かにこの方がわかりやすいかもしれない。

 

[オブリーク形状のつま先]

これはスキーブーツに限らず現在の靴全体に増えてきている形です。つま先の形をまるく作るのではなくて、足先の形そのままに親指のところをまっすぐ前に伸ばした形のことをオブリーク(形状)と言います。カービングスキー登場以前からこの加工をしていたブーツフィッターは少なからずいたはずです。例えば5本の指をまとめてテーピングでぐるぐる巻きにきつく縛って片足立ちすることを想像してみればその意味がわかると思います。特に親指と小指が動かせるという感覚はバランスをとる上でとても大事で、カービングスキーによって内傾角がより深く取れるようになったことから尚更注目されるようになりましたし、実際タイトなブーツでも指回りには意外とスペースがあるブーツが増えてきました。

 

いかがでしょうか。現代のスキーブーツの「なぜこの形なのか」を観察していくことからどのような運動が求められているかが見えてくることもあるのではないでしょうか。

 


 

以下、現行上級機種、主にレース用及びその派生機種からメーカー別に思うところをあれこれ書いてみました。思いっきり私目線なので皆様のブーツ選択の参考になるかどうかはわかりません。やはり履いて感じてみるのが一番だとは思います。

 

今年の印象:

レース・デモ系以外の一般モデルは、グリップウォークソールが当たり前になってきました。

古いスキーをそのまま使う方は対応ビンディングかどうかの確認は絶対に必要です。はめることはできてもガタついたり、転倒時にちゃんと外れてくれなかったりする危険がありますので。

 

まずはメジャーどころから。

 

[ノルディカ ドーベルマンシリーズ] url:https://www.tecnica-group.com/

(23-24 フルモデルチェンジ)
(22-23 基本継続だが、WC110また消滅)

(21-22 基本継続)

(20-21 WC 110復活、その他パワーベルト、ロゴデザイン変更、など)

(19-20 WC 110がショートカフになってWC 100に)

(18-19 大幅な変更なし)

(17-18 ロゴ、バックルカラーの変更、など)

(16-17 変更なし)

(15-16 WC EDT 100廃番、WC 110登場、幅98mmモデルがGPシリーズに移行)

(14-15 変更なし)

(13-14 フルモデルチェンジ:WC EDT 150,130が93mm幅に)

(12-13 マイナーチェンジ:EDT構造の変更、カントビス、パワーベルト等)

(11-12 カラーの変更等)

(10-11 カラーの変更等)

(09-10 フルモデルチェンジ:オフセットシェルからEDT構造に)

(08-09 大幅な変更なし)

カービングスキーにいち早く対応したのが、このドーベルマンシリーズです。初代からは随分いろいろ変わってきてはいますが、カービングスキー登場後の流れは初代ドーベルマンが決定づけたと言ってもいいでしょう。特にドーベルマンが初めて作った真ん中がくびれているソールの形は今では多くのメーカーが採用していて、ひとつのスタンダードになった感があります。

昨シーズン途中から早期販売はしていた新しいドーベルマンですが、ほぼ10年ぶりのフルモデルチェンジとなりました。今回GPシリーズはなくなりWORLD CUPとRACE-ON PISTEの2シリーズとなりました。

ドーベルマンは元々足首をあまり曲げて滑るタイプのブーツではなく、その分シェルもかなり硬くて一度冷えたらなかなか履けなかったり、かかとも細いことからかかとが大きい方は素のままではかかとが落ちないなどの苦労があったのですが、その代わり捉えの早さと噛んだときの安定感は抜群なブーツでした。今回フルモデルチェンジしたWCは、さらに硬くタイトに、特にインサイドの絞りもよりキツくなって内側の壁を強化してきました。現在の素早く方向づけしてターンを早く終わらせる技術により合わせてきたということだと思いますが、トゥボックスも伸びて角ばった最近よく見る形になったので、結果つま先の空間は少し広くなった印象がありますが、これも広げたというよりもねじれに対して効く形になったということだと思います。元々薄かったインナーはさらに薄くなったということですが、Heel Link Laceと言っているシューレースを引っ張ったときにかかとから甲の付け根に向けても締め上げる仕様、これも曲者でこれが引っ掛かってうまく履けなかったり履き心地が悪かったり当たったりということも有りそうな気がします。

とにかくシェルのフィッティングが大前提という方が多いとは思いますが、今まで130を履いていた方でも5 RD-S(130相当)だと夏場でも足が入っていかない方は多いはずで、M(110),SOFT-L.C.(100)に下げるのもありだと思います。ただし、SOFT-L.C.はネーミングのとおりローカフなので別物と考えてもいいぐらいですが、少なくともリアスポイラーによるセッティングなどは絶対に違ってくるはずです。

それと今回のモデルチェンジでサイズ表示もUKからcm表示に変わりました。サイズ感は今までと同様に、例えばUK6→25,25.5cmと考えていいと思いますが、そのサイズでソールサイズが5mmほど小さくなっていて尚且つ1cmピッチのサイズ展開になっているので特に大きいサイズと小さいサイズについては少し迷う場合があるかもしれません。

昨シーズンまでのドーベルマンGP(幅98mm)はWCとは別物のシェル・インナーでしたが、今年のRACE ON-PISTEシリーズは新しいWCと同じ構造のシェルです。ただしWCとは足幅も、シェルの厚みや硬さも、インナーも違っていて、こちらは割りとスッポリ足が入りますが、かかとの締り方などは「らしくない」感じもして、いっそのこともっと前足部を広げたほうが逆にバランスが良くなるような気もしました。WCとROPの両者で迷う方は少ないと思いますが、一度両方足を入れてみる価値はあると思います。

 

[テクニカ ファイヤーバードシリーズ] url:https://www.tecnica-group.com/

(23-24 基本継続)
(22-23 パワーベルト45mm幅が40mmに、インナーとバックルのカラー変更、Rは幅95mmから96mmに戻った)

(21-22 WC継続、Rは幅96mmから95mmに)

(20-21 基本継続)

(19-20 FB WC90廃番、FBが幅96mmになってFB Rに、など)

(18-19 フルモデルチェンジ、R9.XからFIREBIRDに)

(17-18 変更なし)

(16-17 変更なし)

(15-16 R9.5、R9.8廃番、98mm幅はMACH1 LVに移行)

(14-15 R9.3に110追加)

(13-14 ディアブロインフェルノからR9.3、R9.5、R9.8に)

(12-13 カラーの変更)

(11-12 変更なし)

(10-11 インフェルノの名がついてフルモデルチェンジ)

(09-10 インナーの仕様変更、バックルの変更、など)

(08-09 大幅な変更なし)

ムーンブーツなどで有名だったテクニカはスキーブーツに関してはイタリアのメーカーのなかでは後発組で、スキーブーツといえども快適な物でなければならないというコンセプトがまずありました。ですからプロパーモデルについてはややゆったりモールドのシェルに足当たりの良いインナーブーツ、前傾姿勢を維持しやすいやや高めのかかと、リバウンドの強すぎないシェル構造といった特徴が伝統的にありました。ただしそれらの特徴は最近の上級者が求めるブーツ像とは噛み合わない部分が多くなってきていたのも事実で、現在はそういうニーズにはMACHシリーズを、よりモダンな性能を求める上級者・レーサーにはRACEシリーズのFIREBIRDをとはっきり色分けしてきています。

同じグループ企業のノルディカドーベルマンは今年フルモデルチェンジしましたが、旧ドーベルマンとほぼ同じ形だったFIREBIRD WCはそのまま継続となりますので、この形のほうがいいという方はテクニカ一択になります。また96mm幅のFIREBIRD Rもそのまま継続になりますが、最近は上級者用でも一般モデルはグリップウォークソールが多くなっていますので意外と需要はあると思います。あとJr用のFIREBIRD 65は地味にモデルチェンジしています。

 

[ラング ロシニョール レースシリーズ] url:https://rossignol.co.jp/

(23-24 基本継続、ただしロシのSUPER VIRAGEはカラー変更)
(22-23 ラングRS/RS WC、ロシHEROともにカラー変更、ラングRS140が幅95mm(?)で復活、RS130LTD仕様変更、ロシVIRAGEは継続)

(21-22 ラングRS/RS WCは継続、リムーバブルソールで幅97mmのRS130LTD、ロシHEROサイズ設定変更、VIRAGEカラー変更等あり)

(20-21 ZC~ZJ+の硬さ設定変更。ラングZSOFT+追加。ロシHEROラインナップ及びサイズ設定変更あり)

(19-20 基本継続だがカラー、インナーの変更はあり、ZCに23.5、24.5追加)

(18-19 RS継続、RPはWCとなってフルモデルチェンジ)

(17-18 RSフルモデルチェンジ、RS140廃番、RPはロゴ・バックルの変更、など)

(16-17 基本継続、デザイン、インナーの変更、など)

(15-16 基本継続)

(14-15 RPにZA+,ZJ+追加、カラー、インナー、バックル、パワーベルトの変更、など)

(13-14 RSは基本継続、RPは弱冠変更あり)

(12-13 サイズ21cmモールド追加、90,70も同じモールドに、ZAsoftの仕様変更、など)

(11-12 幅92mmの選手用ZC~ZAsoftがカタログモデルに、幅100mmのワイドモデル登場、などラインナップの拡充)

(10-11 フルモデルチェンジ、久しぶりにローカフのJAPAN MODELが復活)

(09-10 ラインナップの拡充)

(08-09 上位モデルはフルモデルチェンジ)

ラングが今の形といいますか足型になったのは10-11シーズンからですが、そこからの大きなフルモデルチェンジはRS/RS WCとも一回ずつ、ともにシェルがデュアルコアと呼ばれる構造になったこと。このデュアルコア、シェルを成型する際に5箇所からソフトとハードな素材を同時注入することで3層のサンドイッチ構造を作りだしていますが、カタログのイラストのように外部表面もソフトな素材の部分とハードな素材の部分があります。

単一素材でシェルを作る場合、シェルの基本構造が決まった上で部分的に強弱を作るにはシェルの厚みで調整するのが普通ですが、このデュアルシェルは厚みを変えずにそれができるので軽量化することもできて、フレックスとパワーの伝達、リバウンドの強さなどの調節がしやすくなるということらしいです。実際履いた感じでは一瞬軟らかくなったかなと感じますが、コントロールのしやすさはそのままにソールがねばってグリップしてくれる感じがよくなっています。踵からふくらはぎにかけての後ろのサポートの部分がよりしっかりした形に変わったのもこの辺と関係あるはず。またトゥボックスや内踝、外踝の形なども微妙に変わったのもその辺だと思います。

17-18シーズンからデュアルコアとなった現行RSはそれ以前とは見た目があまり変わらなくて足型自体も大きな変更はありませんが、手にとってみてすぐにわかったのは軽くなったこと、背面の形状が変わったこと、インナーブーツが変わったことなどです。それ以降はカラーやロゴ部分のデザインの変更を除けば、実質変更があったのはインナーブーツのみで、一時厚くて柔らかい感じになりましたが、4年ぐらい前からまた少し元に戻った感じで個人的には今ぐらいが丁度いい感じがしています。

WC RSはRSから一年遅れて18-19シーズンからデュアルコアになって、新しいヒンジのパーツ、同じく新しいフットベッド、リフター前提のようなツルツルのソール、つま先や背面形状の変更、ソール長が短くなった、などこれまた完全な新モールドになりました。WC RSは元々RSとは幅や前傾角度、カント角度などが違っていてよりシビアなポジションと操作が要求されるブーツです。何でもできそうなRSとは全然違うので見栄だけで手を出すとキツイ人も多いはず。自身の用途に合っているかよく考えて選びましょう。あとZA+、ZJ+、ZSOFT+はボトムに近いところ以外にもくるぶしから舟状骨、土踏まずの辺りも微妙に削ってあってソールカントもRS同様の0°で、これもまたちょっと別のモデルと認識したほうが良さそうです。

ロシニョールのHEROシリーズはラングRSから無くなっていた140がある代わりに130がありませんし、120はショートカフではない等の違いがあります。それとラング・ロシニョールの21cmサイズはソールサイズ261mmの21/21.5cm専用のアダルト規格のシェル、そして専用インナーです。22cm未満のブーツは本来ジュニア規格になるのですが、最近は他社でもアダルト規格の21cm専用シェルをちらほら見かけるようになってきました。

 

[アトミック レッドスターシリーズ] url:https://atomicsnow.jp/

(23-24 基本継続)
(22-23 バックルカラー変更、オプションで厚みの異なる3種類のタング、TI/STIの150/130がMimicインナーに、TI170消滅、レースアトリエモデルがカタログでも復活、など)

(21-22 CS130/110インナーに熱成形素材MIMIC搭載、バックルカラー変更、その他TI/STIは基本継続)

(20-21 WCがTEAM ISSHUEに名前変更して幅92mmから95mmに、その他基本継続)

(19-20 バックル・パワーベルトのカラー変更、REDSTER STI登場)

(18-19 基本継続)

(17-18 フルモデルチェンジ、110以下に21cmサイズ初登場)

(16-17 幅98mmのPRO110およびW品番消滅、FIS APC LIFTED追加)

(15-16 基本継続、ロゴ・カラーの変更、など)

(14-15 全機種メモリーフィットに、PROがM/W別のサイズ設定に、その他ロゴ・カラーの変更、など)

(13-14 モールド弱冠変更、WC170、PRO120、PRO100追加)

(12-13 レーステックからレッドスターになってフルモデルチェンジ)

(11-12 FR廃番、CS130のインナーが上位グレードに、CS110 CS80 STI70追加、バックルカラー変更、など )

(10-11 バックルの変更、インナーの仕様変更、CSのフットベッド仕様変更、SFR廃番、CS100復活、など)

(09-10 TIがラインナップとして復活、インナーの外皮仕様変更、など)

(08-09 TI→STI、FR130→SFR、など)

現行2代目レッドスターは7年目になります。ただし3シーズン前からWCがTEAM ISSHUEと名を変えて幅92から95mmの新モールドになっています。

初代レッドスターは、かかとからふくらはぎにかけてのシェルにカーボン素材を組合わせていましたが、現行モデルはプラスチック単一素材に戻って、そのプラスチック自体もかなりしなやかな素材になりました。このレッドスターは後ろが全く反らなかった初代とは違い、かなり後ろにもしなるようになったので、リアスポイラーによる調整も含めて前傾角(というか遊び)のセッティングは改めてしっかり出す必要があります。また単一素材に戻ったためシェルを厚くするところは厚くしなければならなくなったはずですが、なぜか非常に軽くなったのも特徴的。ただ初代と比べて色々柔らかくなりすぎ、という声もあるぐらい変わったので、今後さらに素材の硬さや厚みを微調整してくる可能性はありそうです。このブーツなぜか冷たいという声も多いようですし。

現行レッドスターはSTIが幅93mm、TIが95mm、CSは96mmと3タイプがありますが、その違いはロアシェル前足部の形状と厚みで作り出しています。その中でもSTIは以前のレーステックSTIをほぼ同じ形で復活させたモデルでTI/CSとは少し系統が違います。前足部を輪切りにしたイメージでいうとSTIが一番甲が低くボトムのRもきつくてSTIは楕円型、TI/CSはかまぼこ型です。またSTIはヒンジの位置も一番低く、アッパーシェルの高さもその分低くなっていて、足首の動きも一番使いやすいということで、当時も強さとしなやかさのバランスが非常によいと人気だったモデルです。大雑把に言えばTIのほうがパワフルでレース向き、STIのほうがコントローラブルで基礎スキー向きということになりますが、どちらが好きかとかタイムがでるかとかは人それぞれだと思いますので、レースだとか基礎だとかあまり決めつけないで考えたほうがいいと思います。

それとCSには110以下に21/21.5cm(ソールサイズ261mmの専用シェル)がありますが、TI、STIにはそのサイズは有りませんので要注意です(以前のWC110にはありました)。また昨年もSTI110の24.5cm以下のLC(ローカフ)の個体を見かけたのですが、カタログにあるように「Regular Cuff – All Sizes」なのかは今年も確認しておいたほうがよさそうです。

一昨年新しく登場したMIMICインナーは、熱成形できる硬いフィルム状の素材がもう一枚入っているというイメージ。どの場所に入っているかはモデルによって違いますが、STIなどのタイトなモデルは熱成形前提で考えないと結構きついかもしれません。別売のTI/STI用ガンタイプの簡易フォーミングインナーも、先にこのMIMICのフィッティングをしておいてからフォーミングをするとのこと。MIMIC自体も相当硬いのでかなりガッチリしたものになるのではないでしょうか。あと昨年はカタログにも載っていた普通のフォーミングインナーは今年もあるにはある模様。

また同じく昨年はカタログにも載っていたレースアトリエモデルもやはりあるにはあるようです。このモデルはロアとアッパーが違う組み合わせで、前傾角度はプロパーモデル+1°、硬さは140ぐらいとのこと。

 

[サロモン レースシリーズ] url:https://timetoplay.salomon.jp/

(23-24 S/RACE2は基本継続だがサイズ22.5cm追加、S/RACEが新モールドになって復活、など)
(22-23 S/RACE→S/RACE2、S/MAX→S/PRO ALPHAとなってフルモデルチェンジ)

(21-22 基本継続、S/MAX Wはカラーの変更等あり)

(20-21 基本継続、ロゴやパワーベルトのカラー変更、S/MAX130RACE消滅、S/MAX100W追加、など)

(19-20 基本継続、S/RACE130~90にカント調整ネジ、130/110に22.5cm追加、その他70・65追加、など)

(18-19 レース系はX LABからS/RACEに、スポーツ系はX MAXからS/MAXとなりフルモデルチェンジ)

(17-18 継続モデルとカラー変更モデルあり、X MAX RACE、X LAB 90新登場)

(16-17 基本継続、X LAB弱冠変更あり)

(15-16 基本継続、カラーの変更等はあり)

(14-15 継続モデルとカラー変更モデルあり、その他X MAX90W追加、など)

(13-14 X LAB 110追加、X MAXシリーズラインナップ拡充等)

(12-13 上位機種フルモデルチェンジ)

(11-12 大幅な変更無し、基本的に継続)

(10-11 大幅な変更無し、基本的に継続)

(09-10 色々変更有り)

(08-09 色々変更有り)

昨年S/RACEからフルモデルチェンジしてS/RACE2 WCとなったシリーズは今年も継続です。プラスチックとカーボンを組み合わせたS/RACEは4年間続いたわけですが、現行S/RACE2 WCは単一素材のプラスチックに戻り、その形と厚みで構築していくオーソドックスな作りになりました。形を見ていくと何となくアトミックっぽかったりラングっぽいところもあったりするわけですが、大きいヒンジがサロモンらしさを主張してはいます。あとモデルチェンジ初年度はなぜか上位モデルに小さいサイズが無いというのも、もはやサロモンのお約束みたいなものですが、今年はきっちり130,110ともに22.5cmが追加されました。ラインナップに関しては久々に硬さ140が復活して、ジュニア対応の65はなくなりました。90,70は名前はS/RACEのままですが、90はS/RACE2と同じ構造のようです。

前モデルのS/RACEはオーバーラップ部分は軟らかい素材、底や後ろには硬い素材を入れて剛性と柔軟性をコントロールするというブーツで、特に足元の敏感さが際立っていたブーツでしたが、S/RACE2はブーツ全体がバランスよくより強くなった印象で実際にシェル素材もかなり硬くなって履いた感じも硬いですが、しっかりとフィッティングをすれば意外と動ける感じもあるので、特に今まで130だったけれども今回は110にするかどうかで悩む方は多いと思います。

そして一度は消えたS/RACE品番ですが、今年ほぼ単一プラスチックでS/RACE2と同じ幅92mmのニューモールドとなって復活です。カーボンが入っていない分初代S/RACEより重さも厚みも増しましたが、S/RACE2よりは薄くて軽いシェルです。レース志向の方はS/RACE2のほうを候補にあげると思いますが、そこはやはりレベル次第だと思います。例えばレースをしない基礎系の方がサロモンスキーを選ぶ場合、最近の素早く方向づけして早くターンを終わらせる技術がある方はS/RACE PRO SLが好感触だと思いますが、そこまでの技術がない方にとってはS/RACE PRO SLは硬すぎると感じて、S/RACE SL12のほうを選ぶと思います。スキー同様ブーツの選択もS/RACE2とS/RACEとでは、その辺が分かれ目になるのではないでしょうか。

昨年登場した幅98mmのS/PRO ALPHAも今年は22.5cmと23.5cmが追加になりました。サロモンは伝統的に脱ぎ履きしやすいブーツが多いのですが、このS/PRO ALPHAはバックルの位置のせいなのかシェルの厚みと硬さのバランスのせいなのかタングやインナーの素材や厚みのせいなのか、なぜか非常に足入れのしにくいブーツになってしまいました。このモデルは第2バックル位置を売りの一つにしていますが、結構まずい位置に掛かっていて早々にその部分のシェル割れも目撃しましたので、初めから位置をずらしておいたほうがいいかもしれません。あとブーツフィッターの立場で言うと、本格的にシェルのフィッティングをするのであれば実はレースモデルのほうがやりやすいというのもサロモンの伝統でしょうか。

 

[ヘッド ラプターシリーズ] url:https://www.head.com/ja-JP/home/

(23-24 基本継続、WCR Sが120だけになった?)
(22-23 基本継続、WCR 110S消滅?)

(21-22 WCR継続、96mm幅のWCR Sラインナップ拡充、など)

(20-21 フルモデルチェンジ、RSはラインナップを整理して継続)

(19-20 R,B,RSとも基本継続、バックルカラーの変更等、110S SC追加、女性対応のRS W廃番)

(18-19 新モールドのR2,R3登場、B2廃番、B3継続、B4追加、RSは継続)

(17-18 基本的に継続、バックルカラーの変更)

(16-17 基本的に継続)

(15-16 基本的に継続)

(14-15 基本的に継続)

(13-14 バックルカラー、インナー素材弱冠変更等)

(12-13 大幅な変更なし、B5 RD追加)

(11-12 カラーの変更、インナーの変更、など)

(10-11 バックル・パワーベルトの変更、など)

(09-10 細部変更あり)

(08-09 大幅な変更なし)

今年4年目となるラプターWCR及び、末尾にSが付いた少し幅広(96mm)シリーズとも今年は継続ですが、Sのほうはカタログを見る限りでは120だけになりました。

WCRは、実はシェルの形はラングWCとそっくり。ヘッドがこれを市販できるようになるまでは色々あったらしいが、インナーはヘッドオリジナルでリキッドフィットと言っている隙間を埋めることができる仕様もヘッド独自のもの。またスパインバックルと呼んでいる目新しい形のバックルは、シェルに沿うようにしなったり締め加減にかかわらずキャッチャーのフックの位置が変わらないという特徴がありますが、従来のバックルとは締まり方の感触が違うのでやはりラングと同じ感じとは言えないと思います。実際に履いてみると、押したときの反応がラングよりも少しガサガサした感じがあるのですが、それがシェルの素材の違いによるものなのか、インナーの違いによるものなのか、またそれにリキッドフィットを入れると違った感触になってくるのかは実際に使ってみないとわからないと感じました。ただ以前ののRやBよりは確実に今風のいいブーツになっているのは確かです。

またWCR 5/6 SCはリキッドフィットなしでショートカフのジュニア用という設定ですが、もちろん技術志向の女性用としても需要は多いと思います。ただしリアスポイラーは付属していないようなので何かしら対処が必要かもしれません。

WCRより幅が3mm広い96mmのWCR Sは今年120だけになったのか130や110もあるのかちょっと不明。このモデルはWCRとはシェル素材やバックルが違いますが、ナロー過ぎないモノブロックソールの上級者向けブーツは昨今貴重種です。甲の嵩(かかとから足首付け根までの距離)を大目にとってインナーも割りと厚めでしっとりとしたフィット感といったヘッドが伝統的に持っていたイメージはFORMULAが受け継ぎましたが、こちらはグリップウォークに交換可能なソールです。

 

[フィッシャー RC4シリーズ] url:https://www.goldwin.co.jp/fischer/

(23-24 基本継続だがPODIUM RDの品番が変わった)
(22-23 RDは基本継続だがカントビス変更あり、幅99mmの90/70が新モールドの95mm幅ショートカフのLT110/90/70に置き換わった、PODIUM GT130消滅、など)

(21-22 PODIUM RDはアッパーシェル、カントビス、インナー等の変更あり、PODIUM GTは130VACUUMのみに、THE CURVは3タイプの幅に)

(20-21 PODIUM継続、CURVはグリップウォークとなってそれぞれ新モールドのCURV GTとCURVに)

(19-20 92mm幅のPODIUMは型番にRDがついた、96mm幅のPODIUM GT新登場、など)

(18-19 PODIUMは継続、CURVはラインナップ等変更あり)

(17-18 RC4 PODIUM、RC4 THE CURVとなってフルモデルチェンジ)

(16-17 基本継続、140VACUUM,130THERMOカラー変更、など)

(15-16 カラー・ロゴデザインの変更、インナーブーツの改良、など)

(14-15 VACUUM FIT TWO ZONE、一部パワーベルト・カラー変更、など)

(13-14 Jr用以外全てVACUUM FITに)

(12-13 VACUUM FITの本格展開)

(11-12基本的に継続、ロゴデザインの変更)

(10-11 幅95mmがPRO品番として復活、他ラインナップの拡充)

(09-10 アライメントの変更あり)

(08-09 足幅95mm→98mmに変更、FLEX100Jrが同じモールドに)

PODIUMの登場から4年目の一昨年、マイナーチェンジがあったPODIUM RDですが、今年はPODIUM RD WC STDと名前が変わるとともに、フレックスの目安となる品番表示が「150→4:1/4:1」というふうに少しわかりにくく変わりました。シェル内側に刻印されている数字がそのまま品番になったということになります。シェル表面にもフレックス表記がなくなったので試し履き・購入の際には注意して確認することが必要です。またLTと差別化するために110がなくなり120(6:1/6:1)になったのと、170(3:1/3:1)が限定販売で追加されました。Jr対応のシリーズは昨年新モールドのPODIUM LT110/90/70となってフルモデルチェンジ。幅は少し狭くなって95mm、ショートカフ、オフセットなしという仕様。結果PODIUMシリーズはすべてオフセットなし、VACUUMなしになりました。

PODIUMは旧RC4よりも踵が低くなりましたが、足首の前傾角からくるポジション的にはやはりリアスポイラーは必要ないぐらいタイトです。前傾角度がきつ過ぎると感じる方は、旧RC4同様カントパーツによる調整も試す価値ありだと思います。また旧RC4は後ろの強さを感じるブーツでしたが、PODIUM RDは後ろよりもインサイドの強さを感じるブーツになりました。ソールの形などはアトミックそっくりですが、この履いただけでわかるインサイドの強さはなかなかインパクトがあって、当たり前ですがアトミックとは全然違いますし、捉えの早さと一度噛んだら放さないフィッシャーならではの安定感は健在です。

現行PODIUM RD WC STDは昨年マイナーチェンジした2代目になりますが、ロアシェルの形はそのままで、アッパーシェルの形が初代とは大きく変わりました。初代のアッパーシェルはロアシェルとのマッチングがイマイチで何となくゴツい感じがあって、実際そのままではバックルがきつくて締まらないケースも結構あったのですが、新しいアッパーシェルはロアシェルとの一体感が増して脚にもしっとりフィットする感じが格段によくなりました。それとフィッシャーのインナーブーツは以前はそう褒められるようなものでもなかったのですが、PODIUMになってからは足当たりのよさ、指の動かしやすさ、脛周りの密着感など旧RC4に比べて格段に良くなっています。一昨年からはさらに爪先を伸ばす方向に広げていてシェルとのマッチングもより良くなっています。

 

[レクザム REVOシリーズ] url:https://www.rexxam.com/

(23-24 R-EVO Sは基本継続、R-EVO Mはフルモデルチェンジ、インナーもSと同じになった)
(22-23 R-EVO S シェル素材・厚み・オフセット・インナー変更、R-EVO M ロゴ部デザイン変更、など)

(21-22 基本継続、130/120/110に新色のオレンジ追加)

(20-21 シェル素材及び厚み、インナーブーツ等細部の変更あり)

(19-20 POWER-REXからR-EVOになってフルモデルチェンジ)

(18-19 M120追加、その他シェル素材、バックル、インナーブーツなど変更あり)

(17-18 150,130はシェル素材変更、他インナー、シェルとも変更あり)

(16-17 フットベッド、アッパーシェル形状の変更、など)

(15-16 シェル形状を中心に色々変更あり)

(14-15 アッパーシェル、インナーブーツの変更、など)

(13-14 データからパワーレックスになってフルモデルチェンジ)

(12-13 細部の変更あり)

(11-12 フルモデルチェンジ)

(10-11 フルモデルチェンジ)

(09-10 マイナーチェンジですが内容的にはフルモデルチェンジに近い)

(08-09 防水対策を中心に細部の変更あり)

レクザムスキーブーツが登場してからもう20年を過ぎましたが、当初はオフセットシェルや前後の段差の大きい独特な形のフットベッド、それらからくるポジショニングの問題などが結構物議を醸し出したメーカーでもありました。ですが、現在では純粋に性能的な観点から語っていいレベルになったと思いますし、無視できない存在にもなってきているといってもいいのではないでしょうか。

ただ国産メーカーらしいきめ細かさで毎年アップデートしてくるのがレクザムのいいところではあるのですが、あまりにもコロコロ変わりすぎて、「レクザムのいいところは何?」と聞かれたときに考え込んでしまうタイプのメーカーでもあります。「だから私はモデルチェンジをしてもレクザムを使い続けるんだ」と言える芯になるものがどこにあってどこまで育っているのか、またターゲットをどこに置いているのかが見えにくいわかりずらいということも言えると思います。

以前のDATAは大回り専用といっていいくらい角が立つブーツ、そしてその後のpowerREXは小回りもしやすいベタっと乗れる感覚のブーツだったのですが、現行R-EVOは底はpowerREXっぽい感じでその上のラッピング(フレーム)部分はDATAっぽい感じです。メーカーの人も両方のいいとこ取りみたいなことは言っていました。そこは実際に滑ってみないとわかりませんが、足入れした感じはラッピング部分の厚みを細かく調整した効果もあってかゴツゴツした感じが減って、しなやかさやいい意味でのやわらかさを感じるものになっています。特にソールがしなる感じが今までのレクザムにはなかった感覚で、よりターン弧をコントロールしやすいものになっているであろうことは想像できます。

今年はPOWER-REXからR-EVOへとフルモデルチェンジして5シーズン目になりましたが、ランプ角、前傾角を含めたスタンディングポジションなどもしょっちゅういじってくるメーカーでもあるので、レクザムを検討する際は特に前後バランス(動きやすそうな姿勢がとれるか)と、フレックスの感じ方(実際に動きやすいか)は毎年しっかり確かめる必要はあります。同じフレックス表示の他メーカーと比べても硬いという印象もありますし。

 

[ダルベロ DRSシリーズ] url:http://www.mdvsports.co.jp/

(23-24 基本継続だがデザインは変更、パワーベルトも少し太くなった、WCにXS J(90)追加)
(22-23 基本継続)

(21-22 基本継続)

(20-21 フルモデルチェンジ、ラインナップも変更あり)

(19-20 カラーが上下逆に、ラインナップ変更あり)

(18-19 基本継続)

(17-18 基本継続)

(16-17 DRSとなってフルモデルチェンジ、98mm幅SR→DRS、95mm幅WC→93mm幅DRS WC、など)

(15-16 STRIKE復活、幅95mmのWORLD CUPも新モールドで復活)

(14-15 STRIKE及び幅95mmのWORLD CUP消えた)

(13-14 STRIKE追加等)

(12-13 ラインナップの拡充等)

(11-12 スコルピオン本格展開)

(10-11 スコルピオン登場)

日本では長い間マイナーものというイメージでしたが、実は世界シェアでは結構上位でアメリカでは一番売れた年もあったりしたメーカー。スケルトンのシェルを一番最初に作ったのもここだったりする。日本でも3ピース物はフリー系・オフピステ系の人達中心にすっかり定番商品になりました。それにしてもK2 FLEXブーツといいダルベロといいアメリカ人の3ピース好きは昔からよくわからないところがあるよなあ。

レース系2ピースブーツDRS及びDRS WCはこの形になって3年目になりますが、今年はロゴやバックルのデザインが変更になったのと、パワーベルトの幅が全体的に広くなりました。現行DRS WCは幅92mm、DRSは幅97mmと前モデルより1mmずつ狭くなりましたが、外観のボリュームは両者同じでシェルの厚みによって内側のボリュームを変えてあります。ラインナップはDRS WCにフレックス90のXS Jが追加になった以外は変更なし、DRS90 LC、75も以前からの98mmモールドのままです。、なおDRS75は21.5cmからあるアダルト規格のブーツですが、90LCよりも更にアッパーシェルの低いジュニア専用といって良い設定です。またオプションとしてDRS/DRS WC用に0.5°,1°のソールカントキット、DRSにはグリップウォークソールも用意されてるはずです。

先代のDRS WCとDRSでは見た目の太さ、幅の広い狭いだけでなく、力の伝わり方逃し方など履いた感じもまるで別物で、ターゲットの違いもはっきりしているという印象でしたが、今回は素性としては同じブーツだけれどもシェルの厚みの違いの分だけ遊びの多さ(裏を返せば敏感さ)が違うという感じになりました。今までは競技志向の方はDRS WCの中から自身のパワーに合わせて硬さを選択するというだけで、DRSはあまり視野には入って来なかったと思いますが、今回はDRSのほうがバランスがいいと感じる人もいるぐらいなのでスペック上同じ硬さのDRS WCとDRSも比較検討してみるのもありではないかと思います。どちらにしても現行モデルになってようやく、はっきり良いブーツになったと言えるようになったと感じていますが、初代スコルピオンから数えてやはり10年は掛かったということですね。

ダルベロのレースシリーズはスコルピオンの時代からずっと全体的に外側にオフセットしてありますが、造りそのものは同じようにオフセットしてあったレーステックよりもドーベルマンに近いという印象で、しなやかではありますがどちらかというとモノコックとしての強さのほうを感じやすいタイプです。ただダルベロは割とまめにアップデートしてくるメーカーで、先代DRSも初年度と最終年度ではシェルの硬さが結構違っていたりしましたので、毎年のチェックは必要です。また現行モデルになってインナーブーツも刷新されたわけですが、ダルベロはそのインナーブーツも自社開発で生産工程もほぼイタリア国内というこだわりのメーカーだということもアピールしたいところとも言っていました。

 

昔からあるが最近触っていないブーツ。

 

[K2 FLEX(旧FT)シリーズ] url:http://www.k2japan.com/

今年からFTからFLEXに名前が変わりました。このブーツはその昔スイスのライケル社がFLEXONという名前で作っていた物で、特に高速系の選手に使用率が高かったブーツですが、モーグル系とも相性がいいということもあってK2が金型ごと買い取ってK2 FTブーツとして継続させてきたという歴史があります。カービングスキーの時代という観点からすると古い設計のブーツではありますが今でもフリー系スキーヤーからの支持はアツイようで、かかとを低くしたりトゥボックスを広げたりウォークソールを装備したりと現代的なアレンジを加えながら生き残っています。

3ピース構造とフレックスタングは押した速さに応じた返りが戻ってくる、体がつぶれても足首を押しつぶすような曲がり方をしないなどのメリットがありますが、そんなことよりとにかく軽い。サーモインナーだと尚更軽い。現在はINTUITION製のサーモ系インナーがメインになっていると思いますが、ライケル時代のフランスPALAU製サーモインナーとは違うので注意。最近はサーモインナーも他社から色々出ているので、こだわる方はその辺比較検討してみるのもいいかと思います。またパーツを自分で簡単に色々交換できるのもこのブーツの強みか。

 

[ゲン] url:http://jcreate-corp.co.jp/

復活したようですね。今後新しい展開があるのかどうか。

 

最近ちらほら触ることがでてきたブーツ。

 

ここで取り上げる可能性のあったAvirivaはREXXAMに吸収されてしまいました。パーツ販売のページは残っているのでアフターサービスもしばらくはしていくのでしょうか。 url:https://www.aviriva.com/

 

(おまけその2 おわり)


おまけの読み物

中江達夫のスキーブーツフィッティング